2005年8月23日
登場する地:室戸岬(高知県)
旅ことば:一念岩をも通す・・・どんなことでも一途に思いを込めてやれば成就するということ。
どんよりとした雲がたちこめている。今にも振りだしそうな空。ようやく念願の室戸岬に着いたというのに、何か気が重たい。かなり閑散としたように感じたのは、バスの終着所がそのような所にあったからだろうか。誤解を招きかねないので先に書くが、後で目撃した限り室戸はサーファーでずいぶん賑わっていた。恐らく波が高いのだろう。サーファーにとっては有数の地なのかもしれない。ほかにキャンプ地としても賑わっているようだ。
さて重い荷物を案内所に預かってもらい、散策を開始。さっそく「灌頂ヶ浜」と呼ばれる海辺に行ってみた。ゴツゴツとした黒い岩場で、大きな波がぶち当たるたびに波しぶきが十メートルくらいの高さに上がる。弘法大師空海が修行をした場所とされ、「灌頂」の名もそこから取ったと思われる。なるほどこの荒々しさは不動明王がいる世界への入口だと言われても不思議ではない。
展望台があるというので行ってみた。室戸岬を一望できはするが、なんだか味気なかった。教科書にあった海岸段丘の壮大さが感じられない。もっと上の方から眺める必要があると思い、海岸に迫り来る段丘の上に行こうと思った。
ところで、展望台に向う途中で崖を背にして睨み立つ銅像と行きあった。中岡慎太郎の銅像だった。彼はこの付近で生まれ育ったようだが、このとき僕は幕末の海援隊を興した坂本竜馬と並んで陸援隊を率いた中岡慎太郎という人物のことをほとんど知らなかった。この四国一周の旅を終えて数年後、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を読んでやっと中岡慎太郎の骨肉を知ったのである。この荒々しい地と波が彼のような攻撃主体の人格を形成した、などというのはこじつけだが、そんなことを言ってみたくなる景色を室戸岬は持っていた。
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