登場する地:道後温泉(愛媛県)
旅ことば:則天去私・・・我執(がしゅう)を捨てて自然に身をゆだねて生きること。
大満足でまた3階に上がり、部屋で扇風機を回して吹き出す汗を紛らわす。そして女中さんがお茶と団子を持って来てくれた。暑さを考慮してだろう、ぬるめのお茶と坊っちゃん団子と称する三色の団子。居る部屋はもちろん和室。開け放たれた障子の向こうのすだれ越しには真夏の青い空。ボランティアのおじさんが言っていた「風情」とはこのことだったのかもしれない。
せっかくなので坊っちゃんの間を見てみようとその部屋に入った。なぜそのように呼ばれているかというと、夏目漱石がその部屋で誰だかと話しをしていたことによるものである。別にその部屋で小説を書いていたとかいうわけではないらしい。
「則天去私」と書かれた額がかけられていた。漱石が好んでいた言葉のようである。「天に則し、私を去る」となるだろうか。無我となって天の命ずるところを為す、のように自己流に解釈しているが、この旅が終わった後もずっと心に残っている。いやむしろそれを目指して生きている僕がいる。道後温泉に来たのは、この言葉に出会わせるために天が僕を導いたためだろうか。
坊っちゃんの間
道後温泉、またいつの日か訪れたい。
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