2005年8月21日日曜日

旅日記-四国一周に行きたい18<道後温泉>

2005年8月26日

登場する地:道後温泉(愛媛県)

旅ことば:埋もれ木に花が咲く・・・世間から忘れ去られ不遇の身にあった人が、幸運にめぐり合い世に迎えられること。


ボランティアのおじさんに声をかけられた僕は、さらに時間があるかと聞かれ、案内所のような場所に連れていかれた。そこには道後温泉のミニチュア模型がある部屋だった。ではかいつまんでおじさん直伝のご案内をしよう。

道後温泉は日本最古の温泉である。道後温泉を象徴する建物自体は夏目漱石が松山へ来て2年後に出来たものだ。それ以来一度も建て直しはされていない。当初の入口は3つ並んで現在と違う場所にあった。今は閉鎖されているが見ることは出来る。左から武士や僧侶、真ん中は女性、右は男性とそれぞれ専用の入口となっていた。天皇・皇室用に作られた入口も別途ある。

風呂は1階が通常の湯の「神の湯」、2階はやや格上の「霊(たま)の湯」と座敷があり、3階は個室の座敷と坊っちゃんの間がある。さらにその上、屋根に目をやると道後温泉のシンボルであるサギがいる。料金は神の湯しか入れないコースから、格上の霊の湯にも入れてお茶とお菓子が付き、坊っちゃんの間に入ることが出来るコースまである。

とまあ、だいたいこのようなところだ。僕は話しを聞いていて一番安いコースでいいだろうと決めていた。しかしそれを察したかのようにおじさんは一番上のコースをおすすめしてきた。みんな安いコースを選ぶが、そんなにべらぼうな値段の差はない、せっかく入るのだからやはり風情があるほうがよい、と言う。

僕はこの時、何かがパーンと弾けるような感覚を得た。そうだ、その通りだ。「風情」。これを感じるにはそれなりの対価を払わなければ得られない。僕はそれまでお金に関しては倹約家的な考えしか出来なかった。しかしこの時を境に、必要なときは出し惜しみしてはいけないことを学んだのである。

おじさん、ありがとう。この方は月イチの午前中だけボランティアしているそうだ。しると僕はかなり奇跡的に出会ったことになる。一期一会とさえも言い表せないような、今後の僕の人生の機転になった日だった。

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