2005年4月30日土曜日

旅日記-みちのく本州最東端に行きたい10<浄土ヶ浜>


2005年5月3日

登場する地:浄土ヶ浜(岩手県)、トドヶ崎(岩手県)


眠りは浅い。空がまどろんだ頃、車の外に出た。冷気が全身を締め付ける。あまりの寒さに小走りして紛らした。

紛らすだけでは間に合わなくなった。間もなく日の出になる。僕は展望台に急いで走った。息を切らして展望台に着いたとき、丁度朝日が水面から顔を出した。間に合った。このために僕ははるばる旅をしてきたのだ、という感慨が湧く。

太陽がすっかり水面から切り離されてから、浜辺に降りて散策してみた。夜にはわからなかったが、浄土ヶ浜というところはすごく風光明媚なところだ。澄みきった空と海の深い青と赤松の林が絶妙なコントラストをなしている。海岸の浅瀬には至るところ小さな岩山が水面から生えていて、頂きには小さな松を飾り付け、荘厳さを加味している。

歩きながら僕は、なるほど、ここは浄土かもしれない、と思った。眩しい光が赤松の林を濡らし、水面から突き出た岩山たちを濡らし、その岩山に生えた小さな松を濡らし、空を、海を、僕の頬を、目を、足元の砂利を、すべてを濡らした。僕はきっと、幸せ者なのだろう。

いや、間違いなく幸せ者だ。

そう確信できるほどに、この日の朝のひとときは一生忘れられないものとなった。


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