2004年9月18日土曜日

旅日記-紀伊半島・本州最南端に行きたい14<高野坂>


2004年9月21日

登場する地:高野坂(三重県)


杉の木が林立して日の光もあまり届かない。道幅はそれほど広くない。じめじめして蒸し暑く、立ち止まるとすぐに蚊が襲ってくる。

さすがいにしえの道。快適なものとは言えない。しかし千年も前に人はここを通っていたのだと想うと畏れ多くなる。ふと日の光が射し込む場所に立った。高野坂に入って初めて見たまともな太陽光はなんとも神々しかった。

しかし、ゆっくり立ち止まっていられない。すぐに蚊に2,3箇所刺されてしまった。これ以上刺されぬように体を動かすには歩くしかない。また先へ進んだ。

一体どのくらい歩いたか、なだらかに登りが続き、だんだん足も重くなってきたとき、ぱあっと急に視界が開けるところに出た。杉木立から抜け、広々とした草原に出たのだ。太陽の光は遮るものもなく降り注ぎ、彼岸花があちこちで咲き乱れ、カラスアゲハが花の周りを優雅に舞っていた。

地獄から仏、というような心地だった。昔の人ももしかしたら同じ思いを持ったんじゃないだろうか。そして信仰というのはこういうところから出てくるのかもしれないと思ったりした。なんにしても太陽というのは本当に有難い存在なのだ。

ちなみに朝の杉木立には日も入るらしい。


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